慰謝料請求した浮気相手から、反論されたらどうすればいい?

慰謝料を請求しても、様々な理由をつけて相手が反論してくる可能性があります。よくある反論の例と、その対処法をご紹介します。事前に「こう言い返せる」と準備をしておくと、相手をしっかり黙らせることができるので、スムーズに示談にすることができます。

浮気自体していないので支払いたくないと反論

いますよね、バレバレの段階になっても白を切り通そうとする人…。
「浮気なんてしていない。慰謝料請求を取り下げないと名誉毀損で訴えますよ!」と強気に出て、こちらの出方を見ようとする人もいます。言ってみるだけならタダですし、証言台でない場所で嘘をついたって罰せられることはありませんから。

きちんと証拠を突きつければ相手を黙らせることができます。
浮気の証拠となるものは、「肉体関係の有無を客観的に証明できるもの」です。重要なのは性交渉したかどうかなので、キスやハグ、デートをしていたというだけではNGです。
ホテルに出入りする二人の写真、目撃情報などは有効です。探偵に依頼して調査書類を作っても、自分で証拠をおさえてもかまいません。
これらの決定的な証拠がなくても、配偶者の自白音声、メールやLINEのやりとり、浮気を知る第三者の証言など、小さな証拠でも組み合わせることで肉体関係があったと推測できるなら、証拠として使うことができます。

逆に、大した証拠もないのに慰謝料請求すると、相手の言う通り名誉毀損で訴えられかねません。慰謝料請求する側は、損害を立証する責任があるためです。
準備を入念にしてから臨むようにしましょう。

既婚者だと知らなかった。知っていたら交際しなかった

配偶者が交際相手に独身だと嘘をついていた場合、浮気相手が本当に騙されていたのなら、慰謝料請求は認められません。

浮気による慰謝料を請求するためには、相手の「故意又は過失」がなければなりません。その根拠は、次の条文です。

・民法第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

浮気における故意とは、相手が既婚者だと知っていながら肉体関係を結んだということです。
出会い系サイトや出会い系カフェで知り合ってホテルに行った、婚活パーティーで知り合って交際した、こうした場合には故意はなかったとみなされ慰謝料請求できません。

故意があったかどうかは、心の中のことなので判断が難しいのですが、状況から見て当然交際相手が既婚者だと知っていたと思われる場合には「知らなかった」ではすまされません。
例えば、浮気相手が夫婦共通の友人であった、配偶者と浮気相手が同じ職場で勤続年数が長かったなどです。

浮気における過失とは、「よく注意すれば交際相手が既婚者だとわかったはずなのに、それを怠って肉体関係を結んだ」ということです。
結婚指輪をしていた、会うのはいつも平日の夜だけだった、住所も電話番号も教えてもらっていなかった、など。一般的な常識に照らして考えれば疑うべき点がたくさんあるのに、目をつぶって交際していたのなら、過失にあたります。

夫婦関係が冷え切っていると聞いており、騙されていた

既に夫婦関係が破綻していた場合には、慰謝料請求できません。
慰謝料とは損害を補填する「損害賠償」の一種ですので、権利を侵害されたという損害がないのなら、請求することはできないからです。
破綻していたと認められる典型的な例は、別居です。

先ほど、「既婚者だと知らなかった場合」は故意や過失がなかったことになるので、慰謝料請求が認められないと説明しました。
では、夫婦関係が破綻していたと聞かされていた場合も、故意や過失がなかったことになるのか?
実はそうではありません。

「妻とは離婚前提で話をしているので家に居場所がないんだ…」
「夫とはもう何年も夫婦生活がなくて悩んでいるの…」

こんなのは浮気の際の常套句ですよね。
確かに配偶者が嘘をついたのかもしれませんが、よくある誘い文句を信じた側にも常識が欠けています。つまり過失があると言えるのです。
ケースバイケースですが、必ず反論しましょう。
同居している、子どもの行事に夫婦で参加している、家族旅行に行っている、これらは円満な夫婦関係であったことの証拠となります。

自分だけ慰謝料を払うのが納得いかない

複数の人間で行う権利侵害を、法的には共同不法行為と言います。浮気の責任は配偶者と浮気相手の双方にあり、慰謝料を支払うべきなのも二人です。
しかし、夫婦間で金銭のやりとりをしても家庭内でお金が右から左に動くだけですから、あまり意味はありません。離婚しない場合は浮気相手だけに請求するのが一般的です。

浮気相手からすれば、自分だけが悪いわけではないのに、交際相手は無傷でいるわけですから納得いかないかもしれません。そこで「半額しか払いたくない」と反論してくる可能性があります。

結論から言えば、浮気相手の要求を飲む必要はありません。

浮気は共同不法行為ですが、誰が損害を補填してもよいことになっているからです。
浮気した配偶者をA男、浮気相手をB子、妻の自分をC子、
精神的苦痛の損賠賠償を100万円とします。

この場合、C子さんはA男とB子に50万円ずつ請求してもいいですし、
A男に100万円請求しても、
B子に100万円請求してもいいのです。

ただし、B子には「求償権」があります。
求償権とは、共同不法行為の慰謝料を自分の責任ぶんを超えて支払った場合、共に共同不法行為を行なったもう一方に、超過分を負担するよう請求する権利です。
B子から100万円獲得したとしても、B子が「A男も半額支払え」と求償権を行使すると、A男は50万円をB子に支払うことになります。
A男さんにお金がなければ事実上B子から得た慰謝料を「半分返す」ことになり、それをC子さんが突っぱねるならA男さんは借金して返済するということにもなりかねません。

これを防ぐためには、B子の求償権の放棄を示談書に入れるのが有効です。
後々面倒が起こらないように、求償権を放棄させる理由は明確に記す必要があります。
具体的には、こんな感じです。
・本当は精神的苦痛の慰謝料は200万円である。
・B子に求めるのはB子の負担分である100万円のみである。
・A男には別途100万円を請求している。
・よってB子は求償権を放棄すること。

おわかりでしょうか。100万円得るために慰謝料を倍に設定しました。相手がこのまま納得するかはわかりませんが、やっておいて損はない方法です。
あるいは、浮気相手が減額を求めてきた時に、それを認める代わりに求償権を放棄させるというやり方もあります。

反論されたらすぐに対処できるようにしておきましょう

慰謝料請求できる明確な根拠があっても、相手がそのままの額を飲むとは限りません。反論される可能性があるので、事前に準備をして慰謝料請求するようにしましょう。

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